今週は薬疹の原因をつきとめる(偽陰性もあるから絶対確かめられるわけではない)ための皮膚科外来もあり、週3回外来受診があり、まあまあ忙しいです。そして次の入院がもう1週間後になってしまいました。
さて、今回の記事は、同じ白血病を罹患された方にも読んでいただきたい内容です。病気との向き合い方、仕事との向き合い方は人それぞれですから「共感」「納得」のある内容という意味ではありません。でも、きっとご自身の考えを深めることにはつながるのではないかと思い、記します。
死というものについて
私、自分の「死」ということには(遠のいたからという意味ではなく)、あまりくよくよと考えてはいません。私が死んでしまったら家族につらい思いをさせてしまうという気持ちはあります。だから、しっかり治して健康でありたいという思いはあります。ちゃんと長生きして、それこそ両親にも親孝行したいという気持ちもあります。ただ、「やり残したことがある」「まだまだやりたい・実現したいことがある」という貪欲な気持ちは、どういうわけだか入院初日から「ない!」という実感みたいなものだけがあるんです。こんなこと言うとよくないとは思うのですが、多分、毎日全力疾走していて、そしてOver Drive状態だったんですよね。仕事も、子どもたちも、職場の人も、子育ても、家族も、人生そのものが大好きだったことは間違いないんですけれど、白血病であと数日で死んでしまうような瀕死状態だった私は「無念!」という思いより「やりきった!」という思いが全身をかけめぐっていた気がします。これも”他の大事な機能を無力化させてしまう”白血病細胞のなせる技なんでしょうか。
でも、血液学的寛解を迎えた今でも、私には「先を考える」ということができません。繰り返しますが、「お先真っ暗」で悲観しているという意味ではないです。近いニュアンスだと「先を考える余裕がない」なのでしょうか。痛いとか息苦しいとか、そういう症状があるわけではないので、身体的な余裕はできてきている気がするのですが、「精神的な余裕」がないのでしょうか。
仕事を休んでいる状態について、「まず、残っている年休全てを使う」「次に、療養休暇をとる」「そして休職に入る」という流れになっています。
復職について
私が今、唯一聞かれて困る、真面目に聞かれるとつらいと感じることが分かりました。それは「復職」についてです。
「復職するつもりがないのに休職するのか」と聞かれたらしんどいです。そういうつもりがあるわけではなく、「今はそんな先をとてもとても見通せない」ということです。でも、小走りすらままならない今の体力で、あの仕事をできる想像は全くつきません。
また、「寛解」って、きっと誤解されるんだと思います。私だって「寛解」=「治った」=「もうこの病気に悩むことはない」と思いたいです。でも、私は初回診断時、白血球数が60,000を超えており4段階分類だったとしたら「超高リスク」に当たります。「急性前骨髄球性白血病(APL)」は、今はかなり治癒率の高いものになってきましたが、それでも論文を見る(概要ね)限り、「高リスクAPLの予後は不良である」とはっきり書いてあるんです。つまり、再発リスクを常にかかえながら生きていくということです。再発したらまた同じように入院治療が始まります。
白血病治療に使用される抗がん剤の一部には、心毒性があるもの(心臓に悪影響)があり、投与されたものは体内に残るため、生涯の累積投与量に上限があります。すなわち、「再発したら大変だけどまた同じ治療ね〜」というわけにもいかず、他の薬などを検討してかなければならないんです。他にも肝毒性のある薬も使われます。
まとめると、私は「再リスクが高い分類(これは初回診断で決まり、今後変わることはない)」「再発したら救援療法をすることになり、代替を考えながら入院治療することになる」「再発が繰り返されるほどに、体への負担が大きくなり、他の大病リスクも高まる」「造血幹細胞移植も検討に入ってくる。ただ、造血幹細胞移植もリスクがあるし、必ず完全治癒するというものでもない」という体です。
今の仕事、これだけ一人ひとりが猛烈に酷使された状態で働き続けているわけで、これを自分がまたやっていけるのかという不安も大きいですが、それ以上に現時点で考えられるのは、「地固め療法終わったら“治った”んだから、これまで通り働ける」わけではないということ。それは周囲にわかってもらいたいことであり、それと同時に、私は人事配慮をしていただくことにすごく心苦しさを感じているということです。
子どもたちにもう1ヶ月以上会えていないんです。あの子たちに会ったらもちろん「仕事したい」という気持ちは湧いてくるでしょう。でも、百歩譲って周囲の大人に配慮してもらうことに甘えさせていただいたとして、子どもにはそれはできませんよ。
かかりつけ医に紹介状を書いてもらって、今の病院に行って即日入院となったとき、「入院は1〜2ヶ月はかかります。」って言われ、(まだ白血病治療の知識が全くなかったので)「では、年度末までは仕事を休むことになりますよね。」とドクターに尋ねました。ドクターは「いえ、1年は仕事はお休みいただきます。」と即答されました。その後、職場に持って行くために書いてもらった診断書には
今回の入院は1ヶ月以上を見込み、今後も入退院を繰り返しながら治療が必要である。
入退院を繰り返す治療期間は合計1年程度を見込み、その後も追加で1年以上の治療を要する。
その間、就労は困難と考えられ十分な療養を必要とする。
と書かれています。これをどう受け取るかというのはあります。文面通りであれば、2年間の就労は困難と読み取れます。ただ、おそらく根治を目指す「地固め療法」を終えて、分子学的完全寛解を迎えたあとは、体力の回復を待ちつつ復職されていく方もいらっしゃると推測します。再発リスクを抑えるための維持療法中は、基本的には内服のみですから、副作用の状態を見ながらあまりつらくなければ復職も可能ではあると思います。
今はまだ考えられない
これだけニュースでも言われるほど「成り手不足」の中、信頼できる・信用できる人材をつかまえることは非常に困難です。ですから、一人前の仕事ができない状態での復職について、私は厳しいということを「考えている」のではなく「現実としてわかっている」ところです。
もちろん、ドクターの「診断」によるわけで、雇用上休職が認められているギリギリまで自分の判断で休むつもりでいるわけではありません。冒頭申し上げた通り、今は先を考えることができません。リハビリ期間ありでも早く戻ってきてほしいと言われたら、それは人情としてすごく嬉しいですが、今は考えられません。ドクターが、「地固め療法が終わったら、体力回復を待ってすぐ復職していいよ。」と言うとも到底思えませんが、令和7年度後期から復職と言われたら、現時点ではプレッシャーでしかなくものすごく負担です。でも、それくらい「治癒して元気にあふれている自分」は夢見てしまうな。
期待され、期待に応えられる回答を持ち合わせなかった自分にちょっと落ち込んだ今日でした。めんどうなやつ。期待されなかったら「存在しないのと一緒」と思ってしまうくせに、期待されたら「考えられない」なんて。しょうがないやつだ。
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