ドキドキ・わくわくとは言ったものです。進学・進級に多くの子どもは不安と期待がいりまじっています。裏で実は子ども以上に親は心配していたりもします。
「新しいクラスで、友達ができるかな」
それがドキドキの多くを占めていることでしょう。社交的な子は、誰とでも仲良くなれる自信があって、あまり新しい環境にいくことに不安は覚えませんが、そうでない場合は、仲良しな子とクラスが離れたら、どうやって暮らしていけばいいんだろうと心配することもよくあります。新担任は、学年初めは特にいろいろな仲間づくりの活動を取り入れています。活動を通して徐々に新しい友達ができていくとよいですね。小学校の教員では、よく「黄金の三日間」などと言っています。最初の3日間で安心と楽しい時間・空間を全力で作ることです。
最近の子は「勉強についていけるかな」なんてまじめな心配をしていることもありますが、勉強は別に学年で段差があるわけではないですからね。そして誰かに追いつく必要もないですし、自分なりの学習スタイルを確立することに向き合っていければ、きっとうまくいきます。
さて、今日はそんな中で「小学校にこれから子どもを通わせる」保護者の方に向けて多めのメッセージをお伝えする記事になります。(教員サイドでも考えてもらいたいことがもちろんあります)
お子さんが小学校入学を迎える保護者の方が知っておいた方がよいことはたくさんありますが、これだけは注意しておいた方がよいと思うことは「小学校は保育施設ではない」ということです。「教育機関である」ということ。そしてこの事実を子どもに背負わせるのではなく、親が覚悟するということです。
私のいう「事実を子どもに背負わせる」とは、「小学校では、ちゃんと席に座って勉強しないと、先生におこられちゃうよ。」とか、「小学校は勉強するところだよ。勉強頑張るんだよ。」とか、そういう声かけです。勉強は強制されてやる罰ゲームでもありませんし、先生は怒る役ではありません。親として、教育の第一義的責任者として、「小学校に子どもをあずける」のではなく「小学校に教育の一部を委ねる」という意識が大事です。
スタートカリキュラムをきちんと実施している学校では、近隣の幼稚園・保育園と接続期のカリキュラムを作っており、子どもたちにとってはゆるやかに小学校生活に移行していけます。これまでと同様、生活の中にある学びの芽から学習が始まり、自覚的な学びにつながっていきます。朝の自由遊びの時間が仲間作りの時間にもなったり、生活の中での気づき・困りをクラスの友達と共有していくことで問題解決をしたり自信をつけたりしていくようにプログラムされています。
生活と学習を切り分けて考えない、経験主義的な活動が、小学校でもしっかりと行われていきます。小学校からはきっと「学びの芽」について発信があると思います。それをどう子どもが気づきにつなげ、気づきを深めていくかには、「対話」が大事になります。対話とは、子どもに答えを教えることではないんですね。まずは共感すること。それだけでも、子どもは次のステップに進めます。悩みであれば、一緒に悩んであげることも共感。提案よりも、引き出すことが大事。
早い段階から、文字言語を習得させたり、計算練習をさせたりすることが悪いわけではありません。基礎スキルはあるにこしたことがありません。ただ、「意味を理解したときの成長実感」「生活上の困難を解決(克服)できたときの成就感」などが子どもの発達にはどれだけ大きな価値を占めるかということを忘れてはなりません。この経験こそが、これからの小学校生活における学習の原動力ともなりますし、生涯にわたっての自分づくりや社会的関係の構築に寄与することになります。
子どもを預けるのではなく、一緒に子どもを育てていくパートナーとしての学校を頼ってもらいたいです。学校は学校で、それに必要な情報をしっかりと発信していくことが求められますね。
「どうしてそうしようと思ったの?」「おもしろいことに気づいたね。」「○○ちゃんの言っていることもおもしろいね(関心という意味で)」などの言葉から、ぽっとわいた気づきを、思考につなげたり自覚につなげたりすることが大人の大事な関与になります。友達との関わりも上手に見出し、そこに価値づけをしてあげることで、友達の意見も大事にする姿勢が身につきますし、問題解決のためにみんなの考えを合わせていきたいという思いがふくらみます。親である自身の価値を付加するのではなく、子どもの発話に内包されている価値を見出して伝えることが「価値づけ」です。
園時代とは違って、連絡帳で細かいお子さんの様子は書かれてきません。学校での様子が見えにくいと感じるときは、遠慮なく学校に聞くとよいです。でも、我が子から学校での生活の様子を引き出すテクニックは、親としてはどうにか身につけて高めていきたいですね。低学年のうちがとても重要。よかったことも、嫌だったことも、受け止めてもらえたという感覚が、自分の中に安全地帯をつくることにつながります。
ときには、親が出動しなくてはという問題もあるかもしれません。そこの見極めは今後を左右する重要な局面です。それこそ、違う立場からの意見を積極的に求める局面です。勇んであらゆる関係をぶち壊してしまうのも大変ですし、悩んで様子を見ていて時間の経過とともに子どもが疲弊してしまうのも大変です。学校には児童支援専任という役もいますし、学校カウンセラーという立場の人もいます。そういう人を積極的に頼ってもらいたいです。
お子さんの小学校入学は、保護者の方にとっても大事なライフイベントです。「覚悟」めいたことをいろいろと書きましたが、地続きであるお子さんの生活と成長を、一緒に支えていきましょう。
・・・って、学校の先生たち、読んでね〜!!
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