トランプショックは世界恐慌へ?

世情

※本記事は、投資を勧めるものではありませんし、投資判断を押し付けるものではありません。投資は自己責任。

 テレビを見ていると、トランプによる「相互関税」発動で、どうのこうのとやっているというのを耳にするのだと思います。「報復関税」という言葉も飛び交っているのでしょう。

関税ってなんだっけ?

 関税って、あまり学校で習いませんよね。軽く中学の社会で学習する程度でしょうか。小学校では税金のしくみを多少学習しますが、関税については扱いません。せいぜい歴史で「関税自主権」というワードが出てくる程度です。

 関税は、輸入品にかける税金のこと。国内の産業を守るために、安価な外国産のものが安価なまま輸入されないようにする税金というのが、一般的な理解かと思います。日本では、農業分野の関税が高くなっています。輸入制限(上限枠を設ける)というのもありますが、WTOのルールで現在はほとんどが関税割当制度に移行しているかと思います。先日アメリカが「日本は米に700%もの関税をかけている」とか言っているのに対して、日本政府は「一定の米の輸入は無税であり、事実と違う」と反論しています。MA米(ミニマムアクセス米)は年間77万トンを無税で輸入することになっています。それ以上は341円/kgの関税をかけるようにしています。(341円/kgが700%に該当するとなると、アメリカの米は1kg当たり48円程度ということになります。今の日本の市場価格が800円/kg程度ですからびっくりしますが、本当にだいたい48円/kg程度なんだそうです)コメについては、どちらかというと今は「備蓄米」の話題にもっていかれていますけれどね。とにかく日本政府は自国の農業を保護するために関税を設けていますし、また農業を管理しています。

 関税には一応もう一つの側面もあります。一応「税金」ですから、国の収入になります。ただ日本の関税による税収は年間1兆円程度で、あまり多くありません。そもそも自由貿易の流れができてきた今日において、高関税をかけることはほとんどよいことがありません。自国の産業を守るといっても、そうやって国がコントロールすることによって、長い目で見るとかえって構造改革の機会を失い、国際競争力の低下につながるともいえます。関税は、発展途上の国では重要な財源になりうると思いますが、先進国による高関税は、国際的な貿易摩擦の激化と世界経済の不安定化という結果しかもたらしません。

株式市場は大きく動揺

 株式市場は、日本市場でも大変な乱高下をしていますね。トランプ関税が実際に発動したことで、先行きが不安定(不確定)ということで、投資家の多くは「リスク資産のポジションを減らす」動きに出たのでしょう。

 企業の業績悪化につながるかどうかは、まだなんともいえません。トランプ大統領の(建前の)言い分としては、海外の大企業はアメリカ国内に工場を造ればいいじゃんっていうこと。そうすれば、アメリカの雇用も安定すると。造ったものを海外へ輸出すれば、貿易黒字になり、アメリカが豊かになると。ただ、そんな思惑通りにはいかないでしょうね。確かにアメリカほどの大規模な市場をボイコットするのは難しいことです。ただ、メリットがあまりなければアメリカに投資する動きにはなかなかならないことでしょう。小学校社会の教科書には、海外に工場を建てるとその国の人の雇用にもなるし、技術の継承にもなると「国際協力」という名目で載っていますが、それもやはり発展途上の国に対してであり、そもそもアジア圏に世界の大企業が工場を建てるのは、人件費が安いからです。まあ普通に考えれば、トランプ関税が低いあるいはない国に工場を建てて、そこから輸出するようになるでしょう。それか任天堂Switch2のニュースのように価格上乗せによって、実質の消費税のようにアメリカ国民が代償を払うことになるでしょう。

 したがって、関税のみでは本質的な企業の業績の悪化につながるかどうかは不透明でしょう。ただただ、今の相場はパニックになっている状態と、上述したようにキャッシュ化の流れかと推測します。

 二日間大幅下落して、ニュースで恐怖指数を取り上げて「弱き相場入り」なんていうから、投資初心者の方とかはパニック売りに動いたことでしょう。そこにまあ「よくある」猛烈な反発がありました。半値くらいは戻すものです。「一過性だったか?」なんて思って買ったところ、安堵売りが入ってまた下げるなんて、まあよくあるシナリオです。

投資初心者はどうするべきなのか

 為替相場も不安定ですから、先行きが不確定なのは(いや、いつだって不確定だけど)確かです。NISA始めたばかりの人とか、ショックが大きいと思います。たしか昨年の大暴落のときも書いたかと多いますが、ここで売って退場するなら、リスク資産はもう持たない方がよいでしょう。オルカンのような低リスクの投資信託で一喜一憂してしまうなら、投資には絶対向かないと思います。にこにこ現金を銀行に預けるとか、国債を買うとか、積み立て保険に入るとか、「資産運用」そのものを自分ではしないという方法を取るのがよいと思います。

 個人的には、株価は戻ると思っています。すぐっていうことではないです。ただ、トランプさんが言っているような「オペを終えて、これからアメリカは豊かになる」とも思ってはいません。株価は国民性も強く表していて、アメリカはいろいろあってもみんなリスク資産をもっていて買い向かっていくので実体経済よりも結構強気な感じがします。一方、日本は外国の相場の影響を受けやすく、まさに一喜一憂という言葉が似合うくらい落ちるときは必要以上に落ちます。つみたてNISAは、長期投資のためのものですから、投資について勉強しつつ(正直しなくてもいいとも思うけど)、放っておくのが一番よいです。高値を見て「いける」と思って高値をつかみ、安値を見て「これはやばい」と安値で売るというのを言葉にして読んでみれば、絶対に資産が増えるわけないとわかるはずです。そもそも投資信託だって、「資産運用を人に任せている」ものですから、「銀行に預けておくより儲かる」という感覚で始めない方がよいですね。投資は自己責任。誰も「儲かる」ことは保証してくれません。また、余剰資産で行うものであることも忘れてはなりませんね。

 調子いいときにぐんぐん利益が上がるのを見るのは嬉しいですし、調子悪くなって利益が目減りするのを見るのはつまらないことです。一番いいのは「見ない」ことです。

 と、庶民レベルの私の現状把握でした。超大金持ちはちがいますよ。「リスク資産を減らしてキャッシュ化」のようにポジション調整ができますから。

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