日本は生成AI後進国?
総務省の「情報通信白書」によると、世界的に見ると日本人の生成AIの活用はものすごく遅れていることが分かります。(直接参照よりこちらの記事の方が分かりやすいかな。)
生成AIが活用されているアメリカや中国が、自国産のAIをもっているというのは強みだとは思います。日本は特に国産にこだわりますから、純国産AIでGeminiやChatGPTなどと渡り合えるものが出てきたらもう少し活用は進むのかもしれません。
最近だと「ジブリ風」のおかげで?ChatGPT利用者が爆増したそうです。私は2年前からChatGPT Plusに課金していますが、画像生成は日々お世話になっています。ですが、生成AIの活用方法は、画像生成だけじゃなくって、それよりもっとたくさんあるんですよね。正直、日々使っていない人には、今日の「Notebook LM」の話は全くピンとこないかもしれません。
日頃生成AIを使っている人は、おそらく「ググる」web検索の頻度が激減していることと思います。アドレスバーに直接調べたいこと入れても、Seach Labs | AIによって調べたいことの要約を出してくれてそれなりに「無自覚的に」AIを利用することもあるかもしれませんが、私は日々、ちゃんと調べたいときはほとんどAIに直接聞いてしまっています。Apple Intelligenceも、ChatGPTを統合していますし、自宅でMacで作業しているときは、ChatGPTはずっと起動してあります。
おっと、いい加減本題にいかなければ。
NotebookLMって何?
Notebook LMの特徴と使いどころ

Notebook LMは昨年から少しずつ使ってみているんですけれど、最近素晴らしい機能が日本語対応したこともあって、いよいよ使い所が増えてきそうです。
Notebook LMは、Googleのサービスです。Geminiは、ネットを通してさまざまな面から調べたいことへの回答を出してくれますが、社内ドキュメントなどにはアクセスできません。Notebook LMは、こちらが事前にアップしたPDFドキュメントなどだけをソースとして、答えを出してくれます。ですから、いわば「ローカル辞書」&「解説サービス」みたいなものを作ることができます。
無料アカウントは、1つのノートに対してPDFで50個のドキュメントをソースとして登録することができます。(大辞典みたいなものを作ろうとすると、50個は結構すぐに埋まってしまう)
私の使い方例:教育資料のナレッジベース化
私は文部科学省の学習指導要領と、横浜版カリキュラムマネジメント要領、そして教科書会社が提供する年間指導計画をソースとして登録した「指導・評価資料」というノートを作ってあります。何年生の何の教科のどの単元で、どういった力を身につけさせることが大事かなどを簡単に参照できます。回答は、複数のソースからの参照部分をちゃんと提示もしてくれます。
ただ、Notebook LMは、webと併用して回答してくれるわけではないので、私の作った資料ノートでは「5年生の社会科で工業の学習をしたいんだけど、自動車産業以外にどんな教材が考えられる?」といったことには的確な回答ができません。Notebook LMは、自学ノートに近いかなと思います。実際に教材を選定するのであればperplexityを使うとよいでしょうし、具体的に指導案計画を立てていくのであればChatGPTなどを使っていくとよいでしょう。
教員でも「学習指導要領などに書かれている言葉が専門的すぎて頭に入ってこない」なんてこともあります。そういった場合は、「教育実習生でまだ教育の専門用語もよくわかっていない人にも分かるように、平易な言葉でかんたんに教えて」のように聞きたいことに条件をつけておくと、分かりやすい表現で回答してはくれます。先輩先生に「ちょっと分かりませんので、分かりやすい表現で」とか言えない人でも、AI相手なら恥ずかしがらずに聞けるのがいいですよね。
Notebook LMは共有も可能
Notebook LMの素晴らしいところは、Googleアカウントを持っている人に、自分の作ったノートを使ってもらうことができます。「これ、仕事でめっちゃ便利じゃん!!」って思います。が、残念ながら横浜市の学校ではAIが使えないので、学校で使っているGoogle Workspacesのアカウントは利用できません。
最近日本語対応した「音声概要」によって、また新しい使い方が増えそうです。音声概要生成は、ソースの内容を、あたかもポッドキャストのように語ってくれるものです。
これまで私は目的別に大量のPDFソースを入れて「専門知識を解説してくれるマン」みたいな使い方をしていましたが、音声概要生成機能を使うことを前提とした場合は、例えば一つの勉強会の資料をソースとして読み込み、それを事前学習として音声概要を聞くという使い方が考えられます。まさに日常使いに入っていきそう。

中央教育審議会の資料を読みたいけれど時間がないときとか、便利です。ちょっとした隙間時間に、概要を捉えることもできます。(こんなかんじの音声が生成されます)
本当は、NotebookLMとWebとを行き来したいところなんですけれど、それはちょっと難しい。複数のAIを使い分けるって感じですね、今のところは。
横浜市の教員は、残念ながらオフィシャルのGアカでは使えない(早く使えるようにすべき)けれど、個人アカウントで絶対使ってほしい。仕事の仕方が変わるよ、絶対。
AI時代の仕事観:指示を出せる人が強い
生成AIは「自分が考える」時間を増やしてくれる、魔法のツールです。自分で考えられない人=プロンプトに行動を投げようとする人は、今のところ活用できません。Apple IntelligenceやGeminiのように、執事的な振る舞いが今後できるようになってはくるでしょうが、今現在は「優秀なリーダー」があなたであり、そこに従っている「超優秀な部下」がAIです。リーダーが的確な指示を出せるほど、そして超優秀な部下を育成できるほど、自分の能力が高まっていきます。
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