前任校のことがニュースになっていました。
いつもはよいニュースで取り上げられることが多い学校ですが、今回は教員の中から逮捕者が出たというとても腹立たしく、悲しいニュースでした。
私にとっては、故郷をけがされたような、悔しく、辛く、重い思いです。異動して7年経っている私ですらこう感じるのですから、地域の方や保護者の方、そして何より通学している子どもたちにとって、本当にショックなニュースだと想像します。想像するだけで胸がはりさけそうです。
前任校では、地域にもお世話になった方々がたくさんいらっしゃって、とても学校を愛してくださっていました。卒業生だって、きっと自慢の小学校だったと思います。逮捕された教員とは面識もありませんが、自分でも悲しいくらい憎悪の念ばかりが膨らんでしまいます。
今、きっと、報道関係が押し寄せてきていたり、保護者の方から問い合わせがきていたり、全国から誹謗中傷が寄せられたりしているのだと思います。その対応を、学校職員がしていることでしょう。学校職員も、同じくらい大きくショックを受けていると思います。たくさんの対応があると思いますが、子どもたちのケアを第一にして、そして1日も早く笑顔の日常を取り戻していけることを心から祈っています。
こういうニュースが流れてきたときに、ネットで他の教員を擁護するようなコメントはまず見られません。最近の「教員の成り手不足」「教員の残業時間が過労死レベル」「働き方がブラック」というニュースが、逆に作用して「こんなに大変で割に合わない仕事、ふつうの人はなろうとしない。給料でない、自分の性的嗜好を満たすような目的があるやつくらいしかなろうとしない」などと、ひどい言われ方も見られました。
教育委員会は何もしないとか、教育委員会は隠蔽体質だとかそういった批判もたくさん見られます。何もしないなんてことないんですけれど、そういった犯罪を減らすことができたというエビデンスはもちろんありません。「採用試験で適性検査を」なんて無理な批判もありますが、気持ちとしては本当にそう思ってしまいます。そんなことができるならと願ってしまいます。ただ、「性的嗜好を特定する」というのはまず無理である上に、そもそも採用段階でそういった性的嗜好を持っているわけではないことも多いにありえますし、また犯罪におよぶ人間かどうかをふるいにかけることは無理があるでしょう。
警視庁の犯罪統計では、学校の教員など特定の職業別の犯罪率の統計分析などはありません。Deep Researchしてみると「教師の犯罪率は、一般の半分以下」というものも出てきましたが、参考文献的には十分たる論文ではなかったのでなんとも言えません。また、「一般職に比べて、教師の犯罪のうち性犯罪の割合は有意に高い」というものも出てきました。仮に両方が正しいとすると、全体的な統計としては教師は性犯罪においても一般より低いことになります。もしも適正検査において「倫理観が高い人材」を抽出しているのだとするならば、いちおうは奏功していることになります。
ただ、そういうことではないんです。私が「採用段階ではない」と思っているのは、教師による児童生徒への性加害というのは、「地位関係性」の悪用がなされやすいことによると考えているからです。
教師という職業だけではないですが、教師は「圧倒的弱者」を相手に仕事をしているということを常に弁えて、権威的になっていないか、関係によって屈服させようとしていないかということをチェックし続けなければならないはずです。
セクハラや体罰に関する研修も年に何回もしていますし、教員同士でも日々声を掛け合うようになっています。がんばったね〜と言いながら頭を撫でるとか、肩に手を置くとか、「身体接触はしない」はスタンダードになっていますし、子どもの相談に対して複数対応することや、密室で対応しないことなどもスタンダードになっています。
それでも、ものすごく神経尖らせて着替えなどの環境整備や指導もしていますが、環境的な不十分さなどは感じています。こればかりは予算がないことには限界があります。
どこかの学校の話、ではなく、我が子の学校・自分の学校の子どもたちを守るために、できることを考えていきたいですね。「人の性的嗜好はわからないもの」「犯罪はそもそも秘匿されやすいもの」「統計的には0はありえないから、あると思って対処すること」といった心構えでいないといけないですね。
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