「週案はさ、職員室PCにしばられずにどこでも作成作業ができるといいよね。」
「管理職もオンラインでコメントできたらいいよね」
そんなフランクな話から、暇な今だからこそ何かできることあるんじゃないかと思って、この1ヶ月ほど週案作成システムを開発していました。
今の校務システムが登場する前は、私がExcelで作成した週案データをみなさんで使ってもらっていました。他の学校でも使っていただいたりもしていました。
それは別に大したシステムではなく、基本的には関数だけで作成していました。シートのA1に移動とか、予定時数を実施時数にコピーとか、あってもなくてもよい機能だけおまけでマクロを入れてありました。
でもそれはもう15年くらい前の話。
自分が今から週案作成システムを作成するなら、少なくとも「今使っている校務システムよりも使い勝手がよいもの」を作りたいです。それに、そうでなければ他の先生方も(場所の制限から解放されるにしても)そうそう使おうとは思ってくれないと思いました。
私はMacユーザーで、仕事以外ではMicrosoft Officeを使うこともなかったので、無知だったのが悪かったのですが、まずとりかかったのはマクロでがっちりかためたExcelのシステムでした。
でも数日後に気づいてよかったです。iPad版のExcelはマクロが使えないということに。。。
次にGAS+スプレッドシートにいけばよかったかもしれないんですけれど、オファーがM365推しだったこともあってそっちにいかなかったのです。(これはちょっと後悔。でも、組織Google Workspaceは制限いろいろだから、これもまたかも)
ふとTeamsからアプリ一覧を見ていたらPower Apps(Preview)が目にとまったのです。(プレビュー)というのが気になっていましたが、アプリ開発できるサービスが許可されているんだと分かりました。
残念ながらPower Automateが利用できないので、いろいろなワークフローを組むことはできないのですが、アプリにアクセスあるいはTeamsに手動投稿などによって、全員で使える週案作成システムが開発できそうでした。
職員室PCは画面が小さいこともありますし、組織M365は自宅では使えない(MDM+MAMのフルコンボ最厳格規制たぶん)ので、自身でビジネスベーシックプランに契約して、自宅で日々ちまちま開発していました。
Power Appsをさわること自体初めてだったので、Power Fx(Power Platformで使用されるローコード言語)ももちろん初めてで、いろいろと戸惑いました。
1週間の予定といえば表だなあと思いますが、表として扱うのではなくてギャラリーを使うというのも新しい考え方で理解するのに時間がかかりました。垂直ギャラリーの中に水平ギャラリーを入れるのか、はたまた水平ギャラリーの中に垂直ギャラリーを入れるのかどっちだろうかとか。
慣れてくれば、あちこちに埋め込むPower Fxは「ここに、これを書く」というのがUIと機能が直結するので、開発はしやすくなっていきました。
ただ、Power Appsのバージョンによるのか、うまくいくだろうコードでエラーが出てしまうなどもあって、そういうときは結構どんづまりな感じで困りました。とにかくAIにどの部分のエラーの可能性があるか聞いたり、コードを貼って検証してもらったりしました。
9割がた出来上がったのですが、残念なことに組織ではPower Appsでの開発は許可しているけれど、Power Apps自体の利用はできないとのことで、お蔵入りです。
まあ、時間外に趣味みたいにやったことですから、悔しいとかはないんですけれど、これ使えたらマジでみんな便利になるはずだよな〜って思います。もったいないのでお披露目だけしようと。
チーム学年経営を前提とした週案作成
今はクラスと専科がそれぞれに週案を作成しています。これは非常に不可解だと感じていました。担任は自分のクラスの週案を作成している人もいれば、自分の週案を作成している人もいて、専科は純粋に自分の週案を作成していました。
教科担任制などを採用してきていて、さらにチーム学年経営もスタートするとなると、月毎に担任するクラスが変わることもありますから「誰がクラス週案作成するの?」みたいなことになってきます。
クラスの週案は共同で作成する。教員は自分がいつどこで授業をするのか分かる自分の週案をもつ。これがスタンダードのはずなんですね。
今の校務システムで驚くことはブッキング検知機能がないことです。たとえば4年1組で月曜3時間目に算数を入れたとして、その裏で専科の教員が4年1組で月曜3時間目に音楽を入れてもエラーが出ないのです。
そこで、クラス週案と自分の週案を瞬時に切り替えられるボタンを実装しました。ほとんどを自分のクラスで授業をするような低学年担任や、あちこちのクラスで授業をする高学年担任や副担任などによって、初期表示してほしい作成ビューが異なるので、クラス週案ビューと指導者週案ビューの初期表示も設定できます。
担当していないクラスを誤って編集しないようにしたり、ブッキングを検知した場合、専科にはエラーを返して担任には上書きするかどうかの確認ダイアログを出すようにしたりしました。
担任、専科、学年リーダーなどのロールによっても編集権限をコントロールしますが、できる限り初期設定を担当者が一人で担うということがないよう、信頼ベースの設計を担保してはいます。
作成支援と教材研究の一挙両得
既存の校務システムの週案作成では、「参照」ボタンがあって他の教員の週案を参照することができます。あまり使っている人を見かけませんでしたが、学年主任の週案から一部コピーをしたりすることを想定していたかもしれません。
私が実装したのは、教科書会社が提供している年間指導計画例などをもとにして作成した、年間カリキュラム参照です。国語を選択すると当該学年の国語のカリキュラムが参照でき、時数ごとに主な学習活動を表示してくれます。必要に応じてそれを転記することができます。
単元は年間でかなりの数になるので、指導月のものが選択肢の一番上に表示できる機能もつけました。
開発を中断した現時点ではここまでの機能ですが、実際は学習指導要領コードも紐づけているので、単元概要や評価計画なども表示させる予定でした。これによって、指導書をあちこち開きながら週案を作成するのではなく、1画面で完結することができるようになります。
10インチタブレットでも作業しやすいUIとUX
職員室PCも作業領域は狭いので、タブレットだからというほどのものではありませんが、今の校務システムはPCでも週の予定を一覧できません(印刷ビューは別)。タブ操作もうまくいきません。ドロップダウンリストが多すぎてクリック回数が膨大です。
予定は教科名+モジュール、あるいは指導クラス+教科名のような簡素な表示で、印刷ビューでは詳細を表示するようにしました。これによって、週の時間割が一見できるだけでなく、週のトピックやクラス内簡易チャットなども表示させ、なんの教科で時数計上するかのミスを減らしたり、指導者内の意思疎通をはかったりすることができるようになりました。
管理職も一気見してコメントづけできる
これまでの校務システムでも、クラスなどを選択すれば、そのクラスの週案を見ることができました。私としてはいつも「どうしてこれを毎週みんな印刷して提出する必要があるのだろうか」と思っていました。今の校務システムには承認決済フローがないんです。また、閲覧はできるけれど、管理職のコメント付はできないんだそうです。
承認決済はPower Automateが使えないのでアプリの機能として実装するのは難しいですが、アプリ内でコメントをつけることで実質の確認済みとする運用にしました。個別に指導者週案をチェックすることもできますし、コメントのみ一気につけることもできます。未確認の指導者だけをフィルターする機能も入れました。
クラス週案と指導者週案で印刷ビューが異なるのは、クラス週案は主にカリキュラム管理に、指導者週案は補欠の計画や労務・人事管理に使うだろうという想定からです。
M365での運用、かついろいろと制限がある中での運用であると想定していたので、組織内のsharepointリストのみを利用するという標準コネクタで作成しました。
モジュール管理が必要なので、本体リストは、1モジュールで1レコード記録しています。したがってクラスが20あるとして、週最大30コマあるとすると1週間でも1800レコードになります。なので本体リストは1年間で新しく作成しなおすことになります。
その他のリストは10年は使えるとしても、結局いくつか変更は必要になってくると考えられます。なので、担当者の仕事としては量は少なくなっても技術的な面が少し高まるとも言えます。したがって、保守が簡単な広く普及できるモデルとは言い難いのが現状です。何より、管理職が「これを使いたい」と言わない限り、採用されることはないでしょう。
それでもアプリに興味がある方がいらっしゃったらお声掛けください。表示ー非営利ー継承のCCライセンスで配布も検討します。


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