基礎能力値を上げる

教育

 学校では、「基礎基本」と言われるものがあります。たいてい、それは「読み書きそろばん」今でいうと「読み書き計算」になるわけです。ですが、現代においては、それだけではないことはほとんどの人が肌で感じていることです。

 学習指導要領では、「基盤的能力」という言葉が出てきます。それは

  • 言語能力
  • 情報活用能力
  • 問題発見・解決能力

と示されています。

 これは、あらゆる学習の基盤となる力であるということです。

 「基礎能力値」というと、ロールプレイングゲームを想起します。

  • 攻撃力
  • 防御力
  • 賢さ
  • 素早さ
  • 魅力

といったものです。

 私は様々なRPGをやったことがあるわけではないので、必ずそうとかは全然わかりませんが、ドラクエなんかをイメージすると、職業があって、パーティーを組みますよね。私はゲーム得意ではないので、ひたすらレベル上げて火力ゴリ押しばかりやってきていたことに最近気がついたレベルです。

 実際は、昔のゲームからかなり戦略的に戦う面白さがあったということも最近知りました。気づかなかったのは、「勇者」という職業があって、勇者は「何かにとがっていないけれど、一通り全てのことを一人でやってのけてしまう」というところがあったからだと思います。それがなかったら、どんなに少なくとも「回復魔法が使えるキャラがいないと」とは考えたでしょう。

 まあ、互いの凸凹を補いあってプロジェクトに挑もうというお話は今日はおいておきます。今日は、勇者目線の話。

 学習指導要領の3つの基盤的能力に戻ると、少なくとも「漢字と掛け算九九」でないことははっきりしているんです。かなり幅広いってことです。

 ここで、「基礎」と「基盤」の言葉がごっちゃになっているので、少し整理します。

 基礎は、ある事物や技能、知識の「根底」や「出発点」となる部分を指します。これは、さらに発展や学習のための最初の段階や、基本的な要素を意味します。一方で、基盤は、ある事物や体系が成り立つための「土台」や「支え」となるものを指します。これは、その上に成り立っているシステムや構造を支える、より広範囲で根本的なものを意味します。

 学習指導要領にある「基盤的能力」が、私はRPGにおける「基礎能力値」に近いと考えているんですね。

 国語の読み書きの基礎は、「文字の識別」だったり「漢字の使い分け」だったりするかもしれませんし、計算の基礎は「数概念」だったり「九九」だったりするかもしれません。私が言いたいのは「基礎基本」という言葉を安易に使うけれど、そのベースは基盤であって、むしろ基盤はもっと広範囲なものだということを認識しておく必要があるということです。

 あらゆる学びを下支えするのが「基盤的能力」なんですけれど、じゃあその基盤的能力はというと、あらゆる学びから身につけていくんですよ。なんだか変ですよね。家の基礎工事しつつ上も作っていって、作っていくと「いや、こうじゃない、こうあるべきだ」みたいになって、基礎のあり方を考えて・・・みたいなよくわからないぐるぐるをしそうです。

 正しい整理の仕方かはわかりませんが、「基盤的能力」を強化していくには、多種多様な生活経験と、教科特性に応じた基礎基本によるスキルアップが大事ということではないでしょうか。現実世界にメタルスライムのような敵がいて、偶然会心の一撃でやっつけて一気にレベルアップみたいなことは起きないんじゃないかと思いますが、地道にこつこつ経験値を積んでいくことが基礎能力値を上げていくことにつながるのは間違いないでしょう。

 基礎能力値が高いと、戦略が広がるんですよ。そして、勇者だった場合は、火力に特化しただけでは倒せない相手が出てしまうんですね。だから幅広く能力を上げる必要があります。


 ちょっと昔話をします。

 私の人生や仕事の師とする一人として、「スキーのインストラクター」がいました。私がスキーのイントラになるって意味じゃないです。考え方とか面白く生きる術とか、周囲をまきこむ魅力とか。

 スキーのレッスンの中で「ドルフィンターン」というものをやったんです。コブ斜面を滑る技術の向上によいドリルの一つなんだと思います。どういうのかというと、コブのない整地されたバーンで、コブがあるかのように、イルカがジャンプしているようにジャンプしながらターンするものです。

まあこうなるよね・・・ Chat GPT4画伯によるドルフィンターン

 テールの反発を利用しつつ、ターン前半に思い切り重心を後ろに移すんです。そうすると反発で宙に浮くんです。そのときにテールを素早くかかえこんで(かかとをお尻に引き寄せる感じ)、膝をターン方向に向け、トップを落として着地する。これを繰り返します。(ぜひ、YouTubeで「スキー ドルフィンターン」で検索してみてください。)

 重心の前後の移動をこれでもかってくらい使うんですよ。普通にスキーしていたら、そんなに動かないのに。そして普段の滑降ならば、むしろ足裏の感覚でミリ単位で微妙なバランスをとるんですよ。そのときインストラクターが

「これは、コブ斜面のためだけの練習じゃないよ。」

と言いました。続けて

「これでもかってくらいのバランスの範囲でスキーをコントロールできるようになったら、より狭い範囲でのコントロールに余裕ができるということだよ。」

と説明しました。私は、これにすごく納得したんです。

 これって、スキーだけのことじゃないなって深く考えたのを今でも覚えています。

 そつなく成功する問題解決の方法だけ教わっていたら、それよりも少し難しい問題には対応できないか、ものすごい労力が必要になります。でも、ふりきるくらいまでいろんなことを試していれば、「これ以上は失敗になる」ってわかりますし、「この状況なら、このくらいの力量でやるんだな」という見通しをもてます。

 教育においても仕事においても同じようなことが言えるのではないでしょうか。丁寧すぎるのもときには考えものなんです。自分もそうですし、育てたい相手に対しても「ポテンシャルを高めるには」という視点で、どんな経験を積んでいくか、がむしゃらな面も含めて考えてみるのがよいのではないでしょうか。

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