自己調整する力はどう身につける?

教育

 「大人も子どもも、すべての人に平等なのは時間」というのは、私の口癖です。

 一斉授業に限界を感じるのは、特に系統的なカリキュラムをしている国語や算数の時間。35人の子どもたちの学力の幅がものすごくあるから、誰にとっても有意義な時間にするということが難しい。

 今の学習指導要領で高らかと言われているのが「個別最適な学び」。これは、GIGAスクール構想によって実現可能性の光が少しだけ見えてきました。それでも、今の一斉授業のあり方を変えていかなければ実現は難しいと私は思っています。

 個別最適な学びを実現する上で、いくつか絶対に必要な視点があります。それは、

  • 課題を把握するメタ認知能力が必要
  • 自己調整する力が必要
  • 個別に学習していくためのテクノロジが必要
  • それらの力や技術を適切に与えていく伴走が必要

というものです。

個別最適な学びを実現するためには

課題を把握するメタ認知能力

 自分がどんな学びが好きなのか、どんなことを実現したいのか、そして自分は何が苦手で何を克服していかなければならないのか。そういったことを自分自身が理解することが大事です。

 メタ認知ってものすごく重要なんですけれど、すごいことを今は要求しますよね。

 私自身、ちゃんとしたメタ認知ができるようになったのは、大学時代だと思います。ある程度の知識・技能・体力などがついてこそな気がしています。陸上競技部としてずっと練習してきて、私は体の発達が人よりも遅かったこともあってか、大学1年生になってやっと神経系が発達したと実感しました。自分の体をどのように意識すると、どのようなパフォーマンスにつながるのか、そういったことを客観的に把握できるようになったのが大学1年生でした。

 学力ではもう少しシンプルにいくのかもしれませんが、ある程度の素地がないとなかなかメタ認知なんてできるもんじゃありません。ただ、コーチングなど今は様々なアプローチがありますから、変な話、メタ認知なんだけど「外からのアプローチによってメタ認知が可能になる」ということです。

自己調整する力

 自己調整という言葉に関しては、様々な捉えがあろうかと思います。今回は、自分の生活のあり方を見つめ直し改善を図るというという意味合いと、上述のメタ認知によって得られた自分の課題に対して時間を割くように学びの配分に改善を図るという意味合いで書いています。

 自己調整するには、今の自分の生活の中身を把握していなければなりません。そして、自分が日々どういった学習に時間を割いているかを把握していなければなりません。これもメタ認知と同様、いやそれ以上かもしれない能力ではないでしょうか。

 大人で、自己調整できている人ってどれくらいいるのでしょうか。これを子どもに求めるって、おそろしい世の中になってきたなとも感じます。でも、理念的にはものすごく大事であるとは思います。こちらに関しても、「外からの助言」が必要です。生活にありようを見ている教師や保護者がいてくれて、その人が本人が納得できるように今の状況を伝え、そしてどのような調整が必要なのか見つめることを促し、一緒に決定していくのが大事。

個別に学習していくためのテクノロジ

 GIGA端末は、光明です。デジタルドリルアプリ、AIなどもそうです。一斉授業の教具として使われているだけでは、永久に個別最適な学びにつなげていくことはできません。でも、GIGA端末は、自分なりの学びのアプローチを許容してくれるし、教師からのレスポンスを待つ時間なく評価をもらえるなど多くのメリットがあります。

 ただ、テクノロジを上手に扱っていくのにも、かなりの忍耐力というか節制の力も必要です。また、正誤だけを返されても、学びの修正は難しいです。IRT分析のようなものと紐づけて、その子なりの認知能力に合わせた学びの調整をAIがレスしてくれたらいいですね。そこまでいったら、教師の仕事はほとんどなくなってしまうかもしれませんが。

教師の伴走

 これからをとりまとめる、現時点での教師の役割が「伴走」です。教授することよりも伴走することに教師の役割がシフトしているというフレーズは、普通の教師ならば耳にしているでしょうし、そこに意識を徐々に向けていることでしょう。でもそのビジョンは見えてこない。いや、今回示したのがそれです。伴走というのは、まさに個別最適な学びを子どもがしていくには、こういった関与が必要なのは明白なのです。それをできるのは教師か保護者なんです。「刺激」という意味では、クラスメートも入るでしょう。(今回、協働的な学びについては触れていません)

 教師の授業のあり方については、「協働的な学び」についても触れた上で示していかなければならないと思いますが、今回の個別最適な学びを実現するためには、教師は子どもにメタ認知できる力をどのよにかして育成していかなければなりませんし、自己調整できるように促していかなければなりませんし、子どもにそれを実現していけるようなテクノロジを保障していかなければなりません。


 それだけで足りるわけがないことは明白ではありますが、第一歩として教師ができることは、子どもにこれらを「語り続ける」ことです。意識をもち、ことあるごとに、それを口にしていく。口にすればするほど、きっと教師は自分の責任を実感することでしょう。さすれば次の一手を打ちにいくことでしょうから。

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