初めての貴腐ワイン

ワイン

 貴腐ワインってご存知ですか?

 白ワイン用の葡萄に、ボトリティス・シネレアという菌が感染し、特定の条件下で「貴腐」とよばれる現象を引き起こしたもので醸造したワインのことです。

 ボトリティス・シネレアは、「灰色カビ病」の原因菌として、日本でも普通にある菌のようです。いちごなどが熟れているときに、灰色のとっても残念なカビがぐじゃあってついていて「こりゃ食べれない」となることがあると思います。

 灰色カビ病に感染した葡萄だったらなんでもよいわけではなく、特定の気候条件(湿度と温度)によって起こる「貴腐現象」が大事で、「年によっては諦めなくてはいけない」という覚悟ができるほどの製造者が厳密に監視のもとで作っているようです。

 うまいこと貴腐化が起きると、菌が外側の皮に穴をあけることで、中の水分が蒸発していき、干し葡萄のような状態になります。ドライフルーツが果実味を凝縮して糖度を増すのはご存知の通りで、おそらくあんな状態になるのだと思われます。貴腐化によって、特有の香りがつき、糖度の高いワインに仕上がるのですね。

 私、貴腐ワインと認識して購入したり飲んだりしたのは、これが初めてです。

 飲んでみて、以前に旅行でどこかに宿泊した際、夕食の食前酒として出てきたものと同じ味と香りがしたことを思い出しました。ですからきっと以前に飲んだことはあったのですが、それが貴腐ワインというものだということは知りませんでした。

 今回購入したのは、フランスボルドーワインで、「Ct.ペイリュシェ キュヴェ・ジャン・バティスト」です。1500円程。

 先日飲んだ白ワインは、ソーヴィニヨンブランが主体で、少しセミヨンが含まれていたようですが、こちらはセミヨン100%です。セミヨンは、皮が薄いことで、貴腐化させるのに適した葡萄品種なのだそうです。

 グラスに注ぐと、見事な黄金色。思わず光を当てて回したくなります。抜栓直後は、「あれ、ふつうの白ワインかな。」なんて思うほのかな果実の香りでしたが、口の中に入れてびっくり。まさに蜂蜜です。とろっとしたなめらかな感覚と長く続く余韻がなんとも言えません。他に何かに似ている気がするなあと思い出してみると、「杏露酒」ですね。

 甘いワインが好きな妻にもヒットしたようです。

 ただ、モスカート種のような甘口ワインのような、カパカパいけるようなものではありません。先ほど表現した杏露酒原液みたいな超甘口なので、少量を楽しむものかと感じました。貴腐ワイン特有の香りを楽しむのであれば、大きめのグラスに入れるのもありかと思います。

 飲む前は、白ワインのようなものかと考えていたので、サバの塩焼きの日に開けましたが、食事中に飲むとなるとちょっと難しいかも。フレッシュな生野菜サラダとか、塩味のきいたチーズとか、クラッカーなんかと合うと思います。

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